AD1865 Trans IV DAC

廉価版システムの低音が弱い理由は、アウトプットトランスの特性が主な原因だと考えていました。しかし、メインのDACを接続してみたところ、低域が大幅に改善されました。原因は、TDA1545AのトランスIVに使用していたSANSUI ST-23でした。その特性を改めて確認したところ、以下のような結果になりました。
直流が流れるといっても2mA程度なので問題はないと考えていましたが、コアサイズが小さいため、飽和していた可能性があります。

手持ちに適したIV用トランスがなかったため、気分転換も兼ねて、以前購入していたAD1865 トランスIVの基板に入れ替えました。この基板には、出力段に6DJ8のSRPPバッファが付いています。しかし、このバッファは出力部分に余分な回路があるうえ、使用されているコンデンサーの影響で音が雑になるために使用せず、IV後のトランスから直接出力することにしました。使用されているトランスは、軍用機器から取り外されたものとのことです。

トランスのスペックが不明でしたので、測定してみました。

 DCR 1次:2次=74Ω:1400Ω インダクタンス 74Ω:3.3kΩ(1khz)

この基板を購入した当時はまだ自作をしておらず、回路も読めませんでした。そこで、改めてデータシートを読み直してみました。


このDACは18bitの左右独立型で、MSBファーストのデータとフレームクロックが必要になります。そのため、自分で基板を制作する場合は、I²Sデータからこれらのデータを生成する必要があります。
内部のオペアンプでIV変換を行うこともできますが、今回はトランスIV方式のため、電流出力の回路です。出力電流は±1mAでした。



以前は基板上のSRPP回路を通して試聴していましたので、あまり印象は良くなかったですが、負荷抵抗のないトランスIV直接の音は目から鱗でした。私の感覚ではCV4055の廉価版アンプとの組み合わせでの音質は及第点でしょう。

このトランスIVを参考にTDA1545A用のトランスで、負荷抵抗のない回路ができないか検討してみたいと思います。







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