※図につきましてはタイムドメイン社 タイムドメイン技術と理論から引用させていただきました。
『 コーンの動作基準 』
スピーカーのコーン紙が時間軸に正確に動作するためには、基準点となるボビンの位置が再生中も不変であることが必要です。コーンが動作する際に発生する反力は、コーン+ボビン以外の部分に伝わりますが、それらが不動であることが求められます。バッフルとバスケットがリジッドに結合され、十分な質量を持つ場合には縦方向の振動のみが伝達され、不要な反射を抑えることができます。Yoshii9のグランドアンカーはヨークにリジッドに固定され、ポールピースと一体構造となることで垂直方向の慣性を増大させ、反力に対抗する設計です。
『 ゲルの特性』
Yoshii9のユニットはゲルによって支持されています。一般的なゲルは応力緩和が顕著で、粘性体としての挙動を示します。ユニットを上向きに設置し、ゲルを潰した状態で位置を決める構造では、広い音域で振動の吸収効果が得られ、ユニットの位置を安定させることができます。これは無支持に近い状態を作り出す方法です。
『 アナロジー物理学 』
機械的振動を電気回路に変換して解析する方法があります。これにより伝達関数、共振、減衰を電気的に解析することが可能です。
- - 力 ↔ 電圧
- - 速度 ↔ 電流
- - 質量 ↔ インダクタンス
- - ばね ↔ キャパシタンス
電気系では1点アースが最も安定であり、振動系に当てはめると支持方法の違いによる安定性の比較が可能です。
『ベアリング3点支持 』
ベアリングによる3点支持は機械的安定を確保する方法です。ただし支持点間には隙間が生じるため、完全密閉が難しくなります。
『音の遮蔽 』
ユニットとエンクロージャーの隙間は完全密閉が基本です。しかし面と面の接触は避けたいため、支持方法によっては僅かな隙間が生じ、空気漏れや音漏れが発生します。粘土で隙間を塞ぐことで密閉性を確保できますが、低周波数領域の遮蔽効果は弱いため工夫が必要です。シリコンパッキンは密閉可能ですが、共振収束に時間がかかります。フェルトは空気透過が大きく、音漏れが顕著になります。
『 粘土の特性 』
最近は隙間の密閉にはゲルの代わりに粘土を使用しています。粘土は粘塑性変形という性質を持ち、微小応力(中高音域)では弾性変形を示し、長時間応力では塑性変形を示します。このため、時間依存的に安定性を確保することが可能です。
『素材の周波数別透過特性』
『ユニットの設置が上向きと前向きの印象』
- 結果:立体感よりも平面的な広がりが強調され、音場の広がりは感じられるものの、情報量は抑えられた印象です。 (音圧低め)
- 音像定位が明確で、細部の情報量が多く感じられます。立体的な空間再現が可能です。 (音圧高め)
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