スピーカーを「消す」ための調整──Model-7とフェーズプラグ調整①

 



私がオーディオにおける音楽再生で最も重視しているのは、スピーカーの存在を意識させない自然な音場の再現です。理想を言えば、コンサートホールやライブ会場の空気感をそのまま再現するような、没入感あるサウンドステージに近づけたいと考えています。
次に重要視するのがレスポンス(応答性)、そして三番目に周波数特性といった順になります。

音場の再現性に関しては、コーン紙が小さいほど有利だと感じています。理由は単純で、小口径のユニットはコーンの深さも浅く、信号変化による物理的な遅延が少ないため、空間表現における違和感が抑えられる傾向があるからです。その観点からすると、私が現在取り組んでいるコーン紙の直径約16cmのModel-7は、直径5㎝程度の小口径ユニットと比較すると音場再現という点ではやや不利なのかもしれません。

こうした繊細な違いは、アンプやDACといった再生系の品質が一定レベル以上でないと明確に感じ取ることができず、客観的な調整の難しさを伴います。

今回の取り組みとして、Model-7に装着しているフェーズプラグの長さを変更し、音場の自然さを追求する試みを行いました。その結果、全体としてのバランスが大きく改善され、音像定位もより滑らかに感じられるようになりました。

そこで、さらに一歩踏み込んで、シム(スペーサー)を挟んだ微調整をしました。音場に合わせてフェーズプラグの長さを調整していく過程では、特定の周波数帯域において音が耳に刺さるように感じられたり、逆に音がこもってコーンにまとわりつくように聞こえることもありました。これらは小口径ユニットではあまり気にならなかった(あるいは聴き取れていなかった)現象であり、深いコーン形状ゆえのデメリットかもしれません。

この調整は、ホーンとフェーズプラグの関係性を軸に、時間軸を意識したチューニングとも言えます。試行錯誤の中で、銅製フェーズプラグの一部にフェルトを貼り付けることで反射を抑制してみたところ、場当たり的ではありますが非常に良好な結果が得られました。

現時点でかなり満足できる状態に近づいてはいますが、まだまだ道半ば。これからも多様なジャンルの音楽や環境音を用いて、じっくりと再生環境づくりを煮詰めていこうと思っています。



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